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ある。衛星の高度と地上局から見た衛星の最低仰角、衛星の軌道を決めると所要の衛星数が求められる。例えば高度1,000?の極軌道の場合に、地球上のどこでも仰角10。以上に最低1つの衛星が常に見えるという条件を満たすには60個の衛星が必用である。この場合、一地上局からの可視時間は10分程度である。最低サービス仰角をより高くしたり、衛星の軌道を低くするとさらに多くの衛星が必用になり、また衛星の可視時間が短くなる。通話中に衛星が不可視となった時に次の衛星との切替を行い通話を継続するか、あるいはその回線は一旦断となり再度接続操作をすることにするかは、システム構成上大きな差がある。逆にいえば経営戦略の違いがあらわれる点である。
3.2.4.6 我が国の取り組みGWSS
表3.2.4−4の通り、非静止衛星を用いて全世界をサービスエリアとする多くの移動体衛星通信システム計画が提案され具体化に向けて進んでいる。またTeledesicを始め、非静止衛星を使用する固定衛星通信システムも計画されている。そのような状況での我が国の取り組みを紹介する。
表3.2.4−4に見られるように、現在計画されているシステムは何れも電話が基本で、伝送路としてはごく低速なものである。これら第1世代のグローバル衛星通信システムの後には、より高速で映像などの伝送が可能なマルチメディア移動体衛星通信システムが求められると考えられる。IRIDIUM等が計画する携帯電話程度の端末で、画像伝送が可能な次世代の移動体衛星通信システム(GMMSS)実現に向けて郵政省で研究会が開かれている。
昨年から続けられている上記研究の結果は、今年度末に報告が行われる予定である。またその成果を受けて、H9年度からは新たに宇宙実証へ向けてのプロジェクトがスタートする。図3.2.4−1はこの計画の概要である。2002年頃に実験衛星を打ち上げる計画である。

 

参考文献
(1)航空保安システム技術委員会平成6年度調査研究報告書第2編p.174

 

 

 

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